小説「グレイなる一族」
エピソード弐拾七 「セバスチャンの憂鬱」
エピソード弐拾七 「セバスチャンの憂鬱」

I am セバスチャン・・
私の名は、セバスチャン

私は、誇り高き由緒正しき高貴な血をその身体に宿す一族の末裔であるGALY様に
お仕える者である。

GALY様「セバスチャン!!食器にカツオ節がないぞ!!」
セバスチャン「はいただ今お持ち致します。」
GALY様「ばか者!!!遅い」
セバスチャン「ひぃ・・・・えお許しを・・・」

私の両頬は、GALY様によって叩かれてしまった。
このような事は、昨日今日始まった事ではない・・この国ではGALY様は唯一無二
の存在であり、太陽であり独裁者である。

GALY様に仕える事は、この「グレイランド」において一番誇り高き事である。
もしGALY様の身に何かあればすすんでこの命さえ私は差し出さねばならない。

とにかくこの「グレイランド」において、彼は絶対の存在なのである。

GALY様「水・・一番絞りの水を飲みに行くぞ・・早く支度しろ・・」
セバスチャン「ははーーただ今!」

GALY様が、「一番絞りの水」とは、洗面所の蛇口をひねってから出てくる水の事で
この国では、GALY様の喉を潤す為だけに使用されているのだ。GALY様が「一番
絞りの水」で喉を潤される際、またはその命令が下されれば私は速やかに、
洗面所にGALY様より先に辿り着いていなければならい。

今日は、ポジション的に遅れをとってしまったのである。まったく最悪の展開になりそうだ。どうしようまたぶたれてしまう・・そんな時救いの神はポケットの中にあったんだ。
私は、夕食後に献上する予定であった・・「マタタビの実」をとっさに右手で取り出し
洗面所とは反対の方向に投げたのである。GALY様はそれを追いかけて行ってしまわれた。

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