小説「グレイなる一族」
いつもなら、このぐらいのハミングと彼の胸元に全体重を乗せる事で簡単に起きるはずなのだがどれだけの時が過ぎても起きだして来る気配がないのだ。

これはおかしい?

このような環境下でデリケートな「セバスチャン」眠り続けるのは私と彼のそれまでの
関係から考えても不可能な事なのだ。私はじっと彼の目を見続けているとほんの少し
開いては閉じているのが伺える・・

そうなのだ!!「セバスチャン」は確信犯なのだ。

分かっていて起きないのだ。問題の解決をしようとしない生き物に問題の解決を依頼しても問題の解決が図れるはずはないのだ。

私は彼を起こすのはしばし休憩し「グランマ」に目標を変えた。

「グレイ大道り」の先にある「グレイ広場」で彼女は寝ていた。私は空腹に無駄なエネルギーを消費してしまったのでかなり限界が来ている為、「グレイ大道り」を駆け足で彼女のベットに走っていった。すると「グレイ大通り」を半分の地点まで辿り着く頃に、確かにベットにさっきまであった「グランマ」の顔が布団で隠されているのである。

「グランマ」貴方さえも確信犯なのか?

私は、彼女の胸の上に全体重を乗っけると「セバスチャン」同様美しいハミングを鼻息で奏でてあげたのだ。「グランマ」が優しく起きれるように・・

二番 負けないで グレイちゃん♪
カツオ節はすぐそこにあるのよ♪
早く起きて「グランマ」♪
カツオ節を食べさせて♪

(原曲ZARD[負けないで]より参照)

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