悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。





「いい朝だね」

「ええ、そうね」


私を優しく抱きしめてリアムが甘い笑顔を私に向ける。私もそんなリアムに答えるように甘く微笑んだ。

するとリアムの美しい顔が少しずつ私に迫ってきたので私はゆっくりと瞳を閉じた。


「…ん」


チュッといつものように音を立ててリアムと軽いキスをする。それから唇を優しく舐められ、私は小さく声を漏らした。


「エマ、口を開けて?」


リアムが甘い吐息と共に私の耳元でそう囁く。


寝てそうそうなんて刺激の強い夢なのだろう。


「…」


私はそう思いながらも黙って口を開けた。


「エマ…愛しているよ」


とろけるような甘い笑みを浮かべて今度は深くリアムが私にキスをする。


何と甘美な時間なのだろう。
だがしかしリアムは私にこうするしかないので今必死に私に愛を囁いているのだ。


リアムは私のことを恨んでいる。


深いキスが終わるとリアムはまた私を優しく抱きしめた。
できることなら私のことなんて触りたくもないだろうに。





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