悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。
シャワーを浴びてスッキリしたところで次は朝食だ。
身だしなみをメイドに手伝ってもらいながら軽く整え終えると、自室の机の上にはたくさんのフルーツと新鮮な水が用意されてあった。
先程までベッドにいたリアムの姿はもうない。
代わりに机の前にある大きなソファに天使のように愛らしい美少年、ルークがニコニコの笑顔で座っていた。
ルークの容姿は銀髪のふわふわの柔らかそうな髪で大きな桃色の垂れ目が特徴的な可愛らしい美少年だ。
年齢は私より5歳下で18歳。現実なら高校3年生、手を出したら犯罪だが、ここは夢なのでおそらくセーフ。
彼も私の恋人の1人だ。
そして今日の朝食係はどうやらルークのようだった。
私のここでの生活にはいろいろルールがあり、その一つが私の生活に関する係だ。まあ、係なんて呼び方は私が心の中で勝手にしているものだが。
食事、身だしなみ、お風呂、睡眠など私の生活に全て彼らは順番に分担して関わらなければならない。
昨夜の睡眠…夜の相手はリアムで、今日の朝食の相手はルークのようだ。
こればかりはいつの間にか決まっていることなのでいつ誰が私のところに現れるのかはわからない。自分で変更しようと思えばできるのだろうが特に文句もないのでそのまま受け入れている。
「エマ!おはよ!」
「おはよう、ルーク」
ルークの側に近寄れば嬉しそうに笑いルークが私に挨拶をしてきたので私も柔らかく微笑んでルークに挨拶をした。
あぁルークは恋人たちの中でも特別可愛らしい。夢じゃなかったら犯罪だよね、本当。
ニコニコ笑顔が可愛らしいルークのすぐ横に私は腰を下ろす。そしてとりあえずコップを手に取り、水を喉に流し込んだ。
「エマ。今日の苺はいつもより赤くて甘そうだと思わない?ほら」
私が水を飲み終えたタイミングを見てルークが私の口元へ苺を運ぶ。
それを私は迷うことなく口に含んだ。
「ん、本当だわ。甘い」
「やっぱり」
「ふふっ。ルークの手からだからだわ。もっとちょうだい」
私の感想を聞いて嬉しそうに笑うルークの目の前で再び口を私は開ける。
すると「はい、あーん」とまたまた嬉しそうにルークが私の口の中に苺を運んだ。