天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 声のほうに足を進めると、別の男性の声もする。


「お前、自分がなにをやったかわかっているのか?」


 普段は温厚な陽貴さんの罵声が聞こえてきたので立ち止まった。


「ですが、無事に終わりましたし」
「そういう問題じゃない!」


 会話の相手は、草野さん?


「脳外のオペの場合、マイクロモスキートを用意するようにと申し伝えてあるはずだ。外回りのナースに聞いたら、お前がいらないと言い張るから外したと言っていたが、その理由はなんだ」


 陽貴さんが口にしたマイクロモスキートというのはサイズの小さい鉗子で、顕微鏡下で行われる脳外のオペではよく使用する。
 だから私も必ずそろえるようにしていた。

 まさか、オペ中に必要な鉗子が足りなかったの?


「モスキートペアンがありましたので、それでなんとかなるかと。実際なんとかなりましたし、必要ならすぐに用意できます」

「それは結果論だ」
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