天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
陽貴さんは声を荒らげるがその通り。
器械出しは、ドクターがオペをしやすい環境を整えるのが仕事。
病院に器具がないならまだしも、あるのに用意しないとは驚きだ。
しかも、準備するように指示が出ていたのだからなおさらだ。
脳外の手術は一分一秒を争うことも珍しくないのだから、必要な器具は手元にそろえておくべきなのに。
「人間の脳に再生能力がないのを知っているな」
「はい」
「脳を傷つけたら、それを元に戻す術(すべ)はない。ちょっとした気の緩みが死につながる」
陽貴さんの憤りはよくわかる。
脳はデリケートで、一旦組織が破壊されるとどんな優秀なドクターが手を尽くしても二度と機能は戻らない。
それどころか、死に至ることもままある。
「それはわかってます」