天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 今、彼と話していてそう思った。

 私は怖くて逃げてしまったが、陽貴さんは踏ん張っている。
 私もいつか彼のように強くなれるだろうか。


「わかってる。そうでなければ、こんなに苦しんだりしない」


 彼は私の腰を抱き、引き寄せる。


「季帆。ひとつ約束して」
「約束って?」
「泣くなら俺の腕の中にして。俺の知らないところで泣くな」


 そうささやかれた瞬間、鼻の奥がツーンとして彼の胸に飛び込んだ。


「陽貴さんのここ、温かい」
「うん。いつでも季帆のために空けておく」


 私は彼の鼓動に耳を澄ませながら、コクンとうなずく。


「指輪は一緒に買いに行こう」
「うん」
「なあ、季帆。俺たちも小栗さんみたいな夫婦になりたいな」


 彼の言葉に自然と白い歯がこぼれる。


「なりたいじゃなくて、なるの!」


 この先、ずっと手に手を取り合って生きていきたい。


< 124 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop