天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 そんな上っ面の同情なんて欲しくない。


「忙しいので」
「クラークなんだよね。俺より勤務入ってないでしょ? 連絡先教えてよ」


 断ったのにしつこく食い下がられて眉をひそめる。


「ごめんなさい」
「飲みに行くくらいいいだろ?」
「飲みませんので」


 私は飲めないわけではないが、陽貴さんと結婚してからは沖縄で飲んだだけ。
 それは陽貴さんに飲む習慣がないからだ。

 それでまったく不満はないし、特に飲みたいとも思わない。


「それじゃあ、飯でいいから」


 どうしてそんなに私に構うの?


「香月さん」


 困っていると背後から声をかけられて振り向いた。
 外科の日高先生だ。


「どうしました?」
「倉庫に材料を取りに」
「そう。お疲れさま」


 彼は私の隣で足を止めた。


「君はオペ看だったっけ。ミスばかりで辞めさせられそうな」
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