天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「倉田はいいヤツだから。ゆっくりでいい。前に進んでほしい」
「ありがとうございます」


 日高先生が病院を去る前にこうして話ができてよかった。


「ヤバ。病棟行かないと。それじゃあ」
「失礼します」


 私たちはそこで別れた。


「前に……」


 倉庫に入って考える。

 陽貴さんと結婚してから、少しずつ前に進めている。

 強引に病院での仕事に戻されたものの今はやりがいを感じているし、つらい記憶を思い出すことはあれど、大きく崩れなくなった。

 それは、陽貴さんがそばにいて私を支えてくれるからだ。

 まだ看護師の仕事に就く決心はつきそうにないが、クラークとして陽貴さんたちドクターのサポートができるように、そして妻として夫を癒せるように頑張ろう。

 そう感じた幸せなひとときだった。



 帰宅したあと冷蔵庫をのぞいていると、陽貴さんから電話が入った。


「もしもし」
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