天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 こんなボロネーゼ、初めて食べた。


「ははは。明日も来る?」
「太っちゃうよ」
「それもそうだ」


 彼は楽しそうに食事を進める。


「さっきオペが終わったあと日高に会って」


 もしかして草野さんのこと、聞いた?


「奥さん孝行してるかってつっこまれて、まずいなと。日高に聞き返したら、アイツもできてないってふたりで反省したんだ。日高も多分、奥さん誘って飯に行ってると思う」

「なにがまずいの?」


「俺たち、脳や内臓にすぐ没頭するだろ? だから奥さんに寂しい思いをさせがちだなって」


 脳や内臓って……。


「大丈夫。私は昼間も陽貴さんが近くにいるし」


 彼はナースステーションで顔を合わせたときなど、ことあるごとに私にこっそり触れる。

 ほんの一瞬の行為ではあるが、秘密の恋をしているような背徳感がありドキッとするのだ。


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