天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 ふたりのうしろ姿を見送っていると、声をかけてきたのは草野さんだ。
 他にも数人、職員らしき人たちがのぞきに来ていたので頭を下げた。


「お騒がせしました。もう大丈夫です」


 私が伝えると人は散り散りになったのに、草野さんだけは残っている。


「看護師っぽいことしてるんだね」

「私はクラークです」

「そういえば、どうして看護師だって秘密にしてるの? やっぱり医療ミスの件は知られたくない?」


 その発言になにも返せなかった。

 知られたくないというよりは、思い出したくない。
 それを話題にされるのがとてつもなくつらい。


「元同僚のよしみとして、よければ俺が話を聞くよ。香月さんのこと心配だし」


 草野さんはなれなれしく私の肩に手を置いた。


「なにが心配なんだ」


 怒気を含んだ声が聞こえてきたと思ったら、草野さんの手がひねり上げられる。


「倉田先生」
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