天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「そっちのパソコンでも見られるから。このID入れて」


 彼は画面に表示されていた患者さんのIDを素早くメモして門脇先生に渡している。

 それを受け取った門脇先生が離れていくと、小声で話しだした。


「気をつけて。研修医は最初にガツンとわからせないと調子に乗るから」
「わからせる……ですか?」


 仕事の厳しさを? 


「うん。そのうち飲みに行きましょうとか言いだすよ、多分。研修医は特にナースの尻に敷かれることが多いから、優しいクラークさんに惹かれるヤツが多いこと」


 惹かれる? 仕事の話じゃないの?


「で、お前も惹かれてるわけだ」
「はっ」


 いつの間に戻ってきたのか、陽貴さんが私たちの間を引き裂くように体を滑り込ませてボソリとつぶやく。
 奥村先生はあわてふためいていた。


「奥村が香月に仕事を押しつけてたと関先生に報告しておく」
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