天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 したり顔をする彼と一緒に食べているのは、鶏肉ときのこのフリカッセ。
 フランスでは家庭料理らしいが、材料を生クリームで煮込んだもので、どれだけでも食べられそうだ。


「これ、家でも挑戦してみよ」

「頼んだ。けど、無理はするな」

「無理してないから大丈夫。陽貴さんが喜んでくれるのがうれしいの」


 パンをちぎりながら話すと、彼はフォークを持つ手を止める。


「どうかした?」
「お前、いつの間に男の煽り方を覚えたんだよ。そんなの教えてないぞ」
「は?」


 いつ煽ったの?


「ま、いいや。今晩は覚悟して」


 彼はニヤリと笑い、再びフリカッセを口に運ぶ。

 咀嚼している彼の口元を見ているだけでドキドキするなんて、おかしいのかな。
 あの唇に何度も触れたことがあるのに。


「好きな女と、こうして好きなものを食べて笑い合えるって幸せだな」
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