天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 おそらく、片山さんのことがきっかけでこんな気持ちに陥ったのだろう。


「不安を忘れられるなら、私を抱いて。陽貴さんはそのまま突き進んでほしいの。陽貴さんを待っている患者さんはたくさんいるんだよ」


 あっさり看護師を辞めた私が言える立場ではないのは百も承知だし、彼に大きな葛藤があるのも理解しているつもり。

 でも、陽貴さんがあきらめたら助からない命が増えてしまう。

 死なせてほしいと懇願する患者さんも、その後、生きていてよかったと思える未来が待っている可能性だってあるのだ。


「ありがとう、季帆」


 彼は再び深いキスを落とす。


「なあ、もう一回抱いていい?」
「えっ、まだできるの?」
「余裕。気持ちよくて溶けそう。今度は丁寧に抱くから」


 彼は私の返事を聞く前に、布団の中に潜っていった。



 散々愛された翌日の朝は、思いきり寝坊した。


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