天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 片山さんに陽貴さんから左半身の麻痺のほかに、半側空間無視という左側にあるものを認識できない症状や注意力が散漫になる症状などが残ると伝えられた。

 そして、所属するバレーボールチームから戦力外通告されている件も。

 告知は酷なことではあるが、新しいスタートラインに立つために必要な行為だと陽貴さんは言う。

 自分の状態を知らないまま生きてはいけないからだ。


 片山さんはもうバレーができないと薄々勘づいていたようで、天井を見つめて微動だにせず、泣きもわめきもしなかったそうだ。

 ただ、その後は殻にこもったように誰とも会話を交わさなくなり、お母さんがどれだけ話しかけても視線を合わせないらしい。

 それでも彼女は仕事帰りに毎日通い、彼の前では笑顔でい続けた。

 私はそんなお母さんにできる限り話しかけ、少しずつだが打ち解けてきた。

 苦しい胸の内を受け止める誰かが彼女にも必要だ。
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