天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい


「片山さん、どうされました?」


 その日、片山さんのお母さんがナースステーションの横にある待合室のベンチで呆然としているのを見つけて声をかけた。


「香月さんでしたか」
「それ、なんですか?」


 彼女がコンビニの買い物袋を持っていたので尋ねる。


「プリンです。あの子、昔からこれが好きで。先生が好きなものを食べさせてもいいとおっしゃっていたので買ってきたんですけど、もう来るなと叱られてしまいました」


 来るなと? 

 片山さんにイライラが募っているのはわかるが、懸命に看病しているお母さんも気の毒だ。


「そうでしたか」
「あの子になにもしてやれないのがもどかしくて。私の顔を見ると腹が立つなら、しばらくは面会をやめようかと。でも心配で……」


 きっと片山さんはお母さんに八つ当たりしているだけだ。

 しかし、今は彼の感情を逆なでしないほうがいい気もする。
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