天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 興奮させるのもよくないし。


「……これ、お預かりしてもいいですか? 私も少しアプローチしてみます」
「お願いします」


 私は彼女からプリンを受け取り、その後の業務をこなした。


 仕事が終わると、休憩室の冷蔵庫にしまっておいたプリンを持って片山さんの病室を訪ねる。


「失礼します。クラークの香月です」


 彼と直接話をするのは初めてだった。

 告知のあと食欲がないせいで頬はこけているが、もともと凛々しい顔つきの男性だ。


 ベッドに横になっている彼は、私をチラッと見て顔をしかめる。

 うっとうしいと思われているのかもしれないが構わずベッドサイドまで行き、プリンを差し出した。


「このプリン、お好きなんですよね。お母さんから預かって、ナースステーションの休憩室の冷蔵庫で保管しておきました。ただ、これ」


 ふたに大きく書いた【片山】という文字を指さして伝える。
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