天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「お安い御用だよ。それで、婚約者はどうして来てたのかな」


 私は気になっていたことを問いかけた。


「俺にもよくわからない。ICUでムンテラしたとき、お母さんの希望で彼女も一緒に話を聞いてもらった。そのときは『支えていきますから』と腹をくくったように見えたけど、病棟に移る少し前に、彼女から婚約破棄の申し出があったとお母さんに耳打ちされて」


 そうだったのか。彼女も冷静に考えた結果導いた結論なのかもしれない。
 残念だけど、私たちにとやかく言う資格はない。


「でも、また顔を出したのは、気持ちが残ってるってことかな」

「どうだろう。その後が気になっただけかもしれないし、離れてみてやっぱり必要な人だと思い直した可能性も」


 後者だとうれしいが、人の気持ちは他の誰にも操れない。


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