天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 片山さんの声が聞こえたので振り返ったものの、彼はそっぽを向いたままだ。


「ありがとうと言っておいてくれ」


 その言葉を聞いた瞬間、胸の奥から熱いものがこみあげてきて瞳が潤む。


「嫌ですよ。自分でどうぞ」
「なんであんたが泣きそうなんだよ」


 声が震えてしまったからか、指摘される。


「あんたじゃなくて、香月です! それじゃあ」


 病室を出てドアを閉めた瞬間、ポロポロ涙がこぼれてきて止まらなくなった。

 もちろん、うれしい涙だ。

 彼が自分の置かれた状態を受け入れるのにはまだこれから時間が必要だろうけど、ようやくスタートラインに立つ気になったのではないかと感じられた。


 翌日は朝食も昼食も食べてくれたようでホッとしていた。


「片山さん、少しずつ表情が柔らかくなってきたんですよね」


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