天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 陽貴さんも早く仕事が終わった日にフライドチキンをこっそり届けたはずだし、私たちの応援の気持ちはわかってくれているはずだ。


 その日、仕事を終えて片山さんの病室に向かうと、彼は起き上がってボーッと一点を見つめていた。


「片山さん」
「香月さんか」
「なんですか、そのがっかりした感じは」


 つっこみながらベッドサイドまで行き、イスに座る。


「別にがっかりしてないよ」
「リハビリ、つらいですか?」
「やっぱ容赦ないや」


 彼は苦笑しているが、うわべだけの言葉で励ましたとて喜ぶような人ではない気がする。


「鬼クラークですから」


 口をとがらせると彼はようやくクスッと笑った。


「でもちゃんと右側から話しかけてくれるんだよな」


 わかっていたのか。
 廊下ですれ違うときもそれは気にしている。

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