天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 彼がどんな器具を好んで使うのか、どんなテンポが一番適切なのかを知っておきたい。


「了解。あとで病棟に持っていく。でも、徹夜するなよ?」


 今日は宿直で帰れないからくぎを刺しているのだろう。

 彼は周りに誰もいないのを確認してから私を抱きしめる。


「季帆は頑張りすぎるから。なにもかも背負ったらつらくなる。オペは携わるスタッフ全員の力を結集して行うものだ。だから俺も季帆に助けてもらうつもりだし、季帆にできないことがあっても、俺や他の人間を頼ればいいんだ」

「うん、そうする」


 返事をすると私から離れた陽貴さんは、エレベーターに私と一緒に乗り込んだ。
 そして【閉】のボタンを押してから、不意に唇を重ねた。


「ちょっ……」


 驚きすぎて彼の胸を押し返したもののびくともせず、下唇を甘噛みされる始末だ。


「充電完了。それじゃあとでね、香月さん」
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