天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 すべての準備が整い、十三時少し前に木藤先生が入室してきた。


「香月さん、ずいぶん勉強したんだって? 引っ張り出してごめんね」

「とんでもないです。精いっぱい務めさせていただきます」

「うん。倉田を頼むな」


 私だけでなく、陽貴さんも今日のオペのシミュレーションを何度も行っていた。


「はい。木藤先生、頑張りましょうね」
「もちろん。よろしくお願いします」


 私はうなずき、彼の体にモニターを装着し始めた。

 普段オペをする側の彼はこれからなんの処置をするのか把握しているため、協力的でとても助かる。


「それでは麻酔を始めます」


 麻酔科医が声をかけると、木藤先生はうなずき目を閉じる。

 酸素の投与のあと、麻酔科医と私のやり取りが始まった。


「プロポフォールちょうだい」
「プロポフォールです」


 いちいち声に出し確認しながら慎重に薬剤を投与していく。
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