天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 沖縄で陽貴さんを手伝ったときのように気管挿管の補助を始めた頃、陽貴さんが関先生とふたりで入ってきた。

 彼は私と麻酔科医をじっと見て深呼吸している。
 心を落ち着けているに違いない。


 麻酔がかかりモニターも正常だと確認が済み、いよいよ執刀だ。


「蝶形骨縁髄膜腫切除術を始めます」


 陽貴さんの言葉とともにいっそう緊張が高まるが、何度も繰り返し手術の映像を見ておいたおかげか冷静でいられた。


「メス」
「メス渡します」


 いよいよ手術が始まり、陽貴さんに器具を渡していく。

 私はモニターに映る術野を見て、次に必要になりそうな器具を準備しつつ、耳ではモニター音に変化がないか気をつけていた。

 陽貴さんの目は常に顕微鏡にあるので、器具の渡し方も重要になる。

 彼がそれぞれの器具のちょうどいい場所を握れるように調整するのも私の仕事だ。


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