天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 神経や血管を傷つけないように腫瘍だけを切除していく手術は予想通り難航した。

 しかし順調に進んでいるように思える。
 サポートする関先生も特に口出しすることはない。


 途中でMRIを撮り、神経や脳と腫瘍の境界を確認しながらの手術は時間がかかる。

 オペが始まり六時間ほど経過したとき、陽貴さんが手を止めて大きく息を吐きだした。

 最も難しい箇所に達しているのだ。


「倉田先生、大丈夫ですか?」


 私は思わず声をかけた。


「ありがとう。関先生、もう少し切れると思うのですがどうでしょう?」


 陽貴さんは関先生と切除部分について相談している。


「ギリギリだな。賭けはするな」
「はい」


 神経に傷をつけては本末転倒。
 それなら残してガンマナイフを選択しようという意味だろう。


「香月。サポート頼む」
「わかりました」


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