天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 陽貴さんが私にまで声がけしてきたのには驚いたが、気持ちを整えているのかもしれない。

 私が返事をすると、再び彼の手が動きだした。

 モニターを見ながら次々と要求される器具出していると「やるな」という関先生の声が耳に届く。
 最大限切除できたのだ。


「ありがとうございます。閉じます」


 手術は大成功だった。
 陽貴さんは親友の未来をつないだのだ。

 しかし感動している暇はない。まだ私には仕事がある。

 使用したガーゼや針などを外回りのナースと一緒にカウントし、持ち込んだ数と違いがないかを確認した。


「倉田、あとは代わる。お疲れ」
「よろしくお願いします」


 全身全霊を傾けたオペで陽貴さんが疲れていると悟った関先生は、その後の処置を買って出る。

 陽貴さんは手術室を出ていくと思いきや、離れたところから見ている。
 木藤先生のオペを見届けたいのだろう。


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