天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 オペ室で鍛えられたおかげかな。


「役に立ててよかった」
「うん。十分現役だ」


 それを聞き、少し複雑な気持ちになる。
 こうして陽貴さんの隣に立てたのは感激だったが、やはり看護師の仕事に戻るのは怖い。


「誤解するな。看護師に戻れと急かしてるわけじゃない。ただ、季帆の能力は一流だよと伝えたかっただけ」


 彼は私の膝の上の手をそっと握って微笑む。


「それにしても、水着で処置室に入ったのは初めてだ」

「ふふふ。ビーチサンダルに白衣を着た陽貴さん、なかなかだったよ」


 白衣の下は水着一枚で、ちょっと間抜けな姿だった。
 あの光景を思い出すと笑いがこみあげてくる。

 けれども、あの男性が助かったから笑っていられるのだ。

 山内先生が言っていたように、陽貴さんがあの場に偶然居合わせたのはラッキーだったと思う。


「自分でも笑えてくる。絶対に同僚には見られたくない」

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