天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい

 彼も白い歯を見せる。


「でも……陽貴さんが飛び込んでいったとき、泣きそうで」


 女性の前で不安な顔はできないと必死に冷静を取り繕ったが、ひとりなら怖くて間違いなく泣いていた。


「そっか。ごめんな」
「私を置いてどこにも行かないで」


 あのときの恐怖がよみがえってきて声が震える。
 すると陽貴さんは私の肩を引き寄せて抱きしめた。


「俺はどこにも行かない。ずっと季帆のそばにいる」
「……うん」


 彼にしがみつき、安堵の涙をポロリと流した。



 一旦ホテルに戻り、レンタカーで観光を楽しんだ。

 山内先生に教えてもらったというアグー豚のしゃぶしゃぶが味わえるお店は、観光客はほとんどおらず地元の人ばかり。

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