【完】セカンドマリッジライフ
本当にあれで良かったのだろうか。 自分に出来る事が限られる無力さ。
それに苛まれていた利久さんにとってはゆなちゃん達の言葉は救いだろう。
二人を見送り病院に利久さんと二人になっても何故か涙は止まらなかった。 そんな私に少し呆れて、でも小さく笑って頭を軽く小突いた。
「何で雪乃が泣くんだ…」
「だっでぇー…うっうっ。よがったー。ゆなちゃんも元気になったし。ううッ。
やっぱり利久さんのした事、間違ってなかったんだよ…」
頬を両手で押さえられて、両目から流れる涙を何度も拭ってくれる指先は暖かかった。
私をジッと見つめる利久さんの切れ長の鋭い瞳が柔らかく垂れ下がる。 少しだけ身を屈めて、利久さんの唇が私の頬に優しくあたる。
「自分も昔から猫や犬を飼っているから知っている。 あいつらは絶対に俺達より先に死ぬって。
居なくなってしまった時の喪失感を知っているからもう二度と飼うまいと思うだが、それでもあいつらは日常に彩りをくれて癒しを与えてくれる。
いつか失う日が来るのを嘆くよりも、一緒に居る時間を大切に出来た方が絶対に良い。」