【完】セカンドマリッジライフ
「あ、勿論容姿だけじゃないけど。
雪乃って雰囲気も持ってるオーラもすっごく特別で沢山の人を笑顔に出来る女性だと思うから
だから正直俺だけのお嫁さんでいるのはもったいないなあって」
「そんな事ないよ…!私利久さんだけのお嫁さんでいるの幸せだもん!」
ちょっと強めに言うと利久さんは顔を綻ばせて笑う。
「まあ、もう俺以外の物にするつもりもないんだけど」
ぎゅっと利久さんに抱きしめられる。 嬉しかったけれど気持ちは複雑だった。
珍しく黙りこくった私の顔を利久さんは覗き込むから、バレないように笑顔を作った。 利久さんの前では自然に笑っていたい。そう思うのに、笑顔を作ってしまった自分が嫌いだ。
そんなのも利久さんの前ではバレバレなのが不思議なんだけど、私は昔から笑顔を作るのがすごく上手で、笑っていれば周りから褒められたからいつしか辛い時も笑ってしまうのが癖になっていた。
「雪乃、大丈夫?」
「…大丈夫だよ。 私も利久さんとずっと一緒にいたい。 ここにずっと居る…。」
少しだけ沈黙が流れた後、利久さんは私の頬をぎゅっと掴んでおでことおでこをコツンと合わせた。