【完】セカンドマリッジライフ

「どうして離婚したのか聞きたくてしゃーないって顔をしているな」

ぎくり。
思った事がすぐ顔に出てしまうのは良い所か悪い所か。

ヘラっと笑うと彼は怪訝そうに眉をしかめた。
困るとすぐに頬が緩んで笑ってしまうのも、自分では悪い所の一つだと思っている。

「別に大した理由はねぇよ。 若かったから間違う事もある。 だから君もまだ若いんだからどれだけ間違ったとしてもいくらでもやり直しはきくよ」

返ってきた言葉は意外にも優しい言葉で驚いた。

’まだ若いんだからどれだけ間違ってもやり直せる。’ 利久さんの言葉は今の自分の立場と重ね合わせてジーンと胸が熱くなる。


これは愛や恋が絡んだ結婚ではない。 お互いの利害の一致の結果の結婚だ。

私は結婚する事によって人生を変えられるし、名前だって捨てれる。 利久さんは利久さんで私の存在によって両親に東京に戻って来いとしつこく言われる事はなくなるんだろう。そして近頃忙しいと言われる動物病院の助手まで手に入る。

そんな契約のような結婚でも、楽しくやる方がいいに決まっている。 

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