【完】セカンドマリッジライフ
「無理。絶対無理です。」
何度も強調して’無理’だと言った。 けれど琥太郎が直ぐに退いてくれる性格でないと言うのは数年付き合っていた私は分かっていた。
「一度話をしよう。 東京に……は無理か?
それなら俺が北海道に行くから。 話だけでも一度聞いて欲しい。」
「いや、話はするまでもなくノーです! 北海道に来るなんて迷惑極まりないよ!」
最後まで押し切って無理だと言った。 しかし琥太郎も退かない。 そんな押し問答の末、利久さんがお風呂から上がる気配がした。
「ごめん、琥太郎。電話切るね」 琥太郎はまだ何かを言いかけていたけれど無理やり電話は切った。
火をつけたままのお鍋はいつの間にか沸騰していて泡をぶくぶくと立て始める。
「ぎゃーーーー!!!!」
叫びを聞きつけて慌てて利久さんがリビングにやって来る。 慌ててコンロの火を切ったけれど、鍋は煮詰まってしまっている。