【完】セカンドマリッジライフ
背中が震えて思わずその場で凍り付く。
その声は電話口から、琥太郎の物ではなかった。
おそるおそる後ろを振り返ったら、寝室の扉にもたれ眉をしかめ明らかに怒っている利久さんが腕を組んで立っている。
ぽとりと力なく手から携帯が滑り落ちた。
「雪乃の様子がおかしいと思って帰って来たら。
一体誰と電話をしている?モデルっつーのは何の話だ?」
「り、り、利久さん…これは……」
私の話も聞くまでもなく、ベッドに滑り落ちた携帯を利久さんは手に取った。
そして電話で琥太郎と勝手に話し始める。 本格的に頭がクラクラしてきて、今にもぶっ倒れそうだった。
そのまま利久さんは琥太郎と電話で話をしている。 ま、まずい。これってすっごくまずいよ。 一通り話を終えて利久さんは電話を切る。そして深いため息を吐いてこちらを見やる。
利久さんの瞳はすっかりと呆れ返っていた。 取り合えず謝ろう。 そう思った瞬間に目眩がして、目の前が真っ暗になりそのまま意識を手放した。