【完】セカンドマリッジライフ

ゲージの中にしまわれた猫はミャーと小さく鳴いた。思わず頬が緩む。

小さな動物病院だったが、人の入りは中々で、それも全て利久さんの人柄そのものなのだと思う。

今日も午前の診療を終えて、二階で昼ごはん休憩に入る。 北海道に来てからは刺激のある出来事はなくなったけれど、代わりに平穏な日々を手に入れる事が出来た。


武蔵たちにご飯をあげた後、利久さんはキッチンに立ちお昼ご飯を作る。 今日は私のリクエストのオムライスを作ってくれるらしい。

リビングの窓に手を充てて外を見ていると、空からははらりと絶え間なく雪が降っていた。

「三月なのに大雪…。このままだったら一年中降ってるんじゃないかって錯覚してしまいますねぇ」

「阿保か、きちんと春だって夏だってやって来る。 一年中雪だったらたまったもんじゃない」

「あら、私雪は好きですけど…!
でも不思議。 東京はもう三月になったら春の陽気になってくるのに、同じ日本とは思えないなあー…」

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