【完】セカンドマリッジライフ

雪を運ぶという作業をするのも初めてだったけれど、余りに寒そうにしている私に利久さんは近所のショッピングモールで上下のスノーウェアを買ってくれた。 北海道人の雪はねスタイルの中ではポピュラーなものらしい。

こんな本格的なウェアは10代の頃友達と行ったスノボでのレンタルでしか着た事がない。

プラスチックで出来たカラフルなスコップも、雪を運ぶためのダンプに触るのも初めてだった。

これが意外に重労働なのだ。 いい運動にもなる。 利久さんと一緒に居る時間の大半は私が喋る。 彼は聞いているのか聞いていないのか分からない感じで、たまに相槌を打ったり私の話にツッコミを入れる。

「こんにちは~。雪はね大変ね~。もう3月なのに、よく降るね~」

二人で雪をはねているとご近所さんが数人通って、必ず声を掛けられる。 そしてそこでついつい立ち話をしてしまうのが利久さんいわく、私の悪い癖だそうだ。

高齢者が多めで通りすがりの人は必ず’こんにちは’と言ってくれる。

お裾分けと言ってお菓子や野菜を貰ったり、ただただその道を通り過ぎていくだけの人なのにちょっとしたドラマがある。

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