【完】セカンドマリッジライフ
私が住んでいた都内ではありえない事だった。
都会の人は余り周りに関心がなくって、お互い知らん顔をして歩いているのが当たり前だったから
だからこそこの生活の中で温かみを感じれる日があるだけで、嬉しい。
灰色のダウンに身をまとった利久さんは黙々と作業を進めていく。 寒さのせいで鼻の先が真っ赤になっていて少しだけそれが可愛い。
被っていた黒のニット帽目掛けて丸めた雪をぶつけると、ゆっくりとこちらを振り返った利久さんは眉間に皺を寄せた。
「あはは~ッ!命中~!」
「子供か…君は…」
そう言いながら利久さんは雪を両手で集めて丸める。 少しだけ口角が上がったかと思えば、こちら目掛けて雪玉を大きく振りかぶった。
スッとしゃがみこむと、利久さんの投げた雪は歩道にぶつかって割れる。
「へへ、若者の反射神経舐めちゃいけませんよッ。私と利久さんじゃあ10も歳が違うんですからね」