【完】セカンドマリッジライフ

「やりやがったな…」そう言った彼の頬は緩みっぱなしだった。

「あらあら、先生も雪乃ちゃんも仲がいいわねーー」

たまたま近所を通りかかった常連のお客さんが私達の姿を見て、笑った。
雪の中で座り込む利久さんは苦笑しながら頭を下げていて、その姿も笑えた。



北海道に来てから、楽しい事ばかりなんだ。 七つの雪の種類は私には全く違いが分からなかったけれど

ここで過ごす時間は緩やかで温かくてゆっくりと流れる。 秋月 雪乃だった頃の騒々しかった毎日を思わず忘れてしまいそうになる。

広大な大地の厳しい冬模様。 あたり一面の銀世界にも慣れた。 知らなかった街で、全く他人だった人と夫婦になった。

それは普通の夫婦とは少し違う形。 けれど少しずつ彼の事を知りたくなっていく。  雪に紛れて綺麗だと思ったのだ――。 北海道の広大な自然と、そこにごくごく普通に存在する笑顔の下手くそな彼が。

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