【完】セカンドマリッジライフ
…空が、とても高く見える。

ここは東京とは違い高層ビルは立ち並んでいない。 見渡す限りの雪景色。 大きな山がいくつも連なって、ぽつりぽつりと民家が立ち並ぶ。

田舎道と呼ばれるものなのだろう。 空港から暫く、おうとつのある銀世界が続いていく。その間タクシーの運転手と盛り上がり、仲良くなってしまった。誰とでも仲良くなれるのは小さな頃からの性格である。

よく笑い、人見知りを一切しないせいで、周りからはいつも明るい性格と言われていた。 そのせいでこうやってタクシーの運転手と仲良くなったり、飲み屋で全く知らない人と盛り上がったりするのは日常茶飯事だった。

どんなに辛い事があっても笑い飛ばしている方が気持ちが良い。 それは自分の中の座右の銘だ。

「へぇ、23年間東京生まれの東京育ちかい。 何だってこんな田舎街にきたのさ。
ここは札幌みたく開けてもいないし、観光名所でもないよ」

「…会いたい人がいて」

東京から飛行機で約1時間半。

そこに広がるは、一面の雪景色。空と山はどこまでも高く――世界を真っ白に染め上げて行く。
北海道1の大都市でもなく、観光名所になっている有名な場所があるわけではない。

空港から車を20分走らせると、街らしき風景がやっと飛び込んでくる。

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