御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない


「あの、東堂さんに短所ってあるんですか?」

話に脈略がなかったからか、東堂さんは少しわからなそうにしてから苦笑いを浮かべた。

「ある。当たり前だろ」

どこですか、と聞く前に「でも、教えない」と言われ拍子抜けしていると、東堂さんがそんな私を見て笑う。
その笑みは、今日の会話のなかでたくさん見せてくれた優しいものではなく、少し意地悪……というか、妖艶に見えた。

今まであんなに楽しく会話をしていたのに、急に空気が色っぽく染まった気がして、その変化に戸惑い目が泳ぐ。

「そう言われると気になります」
「じゃあ、これから過ごす時間のなかで、じっくり俺のことを見てあてるっていうのは? 正解なら正解だって言うし、態度も言葉も嘘はつかないから」
「はい……わかりました」

少しだけ返事に迷ったのは、なんとなく気恥ずかしかったからだった。
別に、私が見られるわけじゃない。私は見る側なのに、東堂さんをじっくり観察する様子を想像したらとても恥ずかしくなった。

きっと東堂さんが私に見つめられたところで照れることなんてないとわかっているから余計に。

東堂さんの持ってきてくれたケーキを食べながら、チラッと見てみたけれど、やっぱり東堂さんは恥ずかしがる気配は見せず、余裕そうに私に微笑みを返していた。

……この人に短所なんて、本当にあるのだろうか。

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