能力を失った聖女は用済みですか?
半日の試行錯誤の後。

ルナシータ塩バージョンは完成した。
名前は、そのままズバリ「塩ルナシータ」。
長い名前にすると、受発注する際の記載が面倒臭い、という現実的なアミードの意見からだった。
仕事の終わったカイエンとシスルも厨房にやってきて、出来たばかりの塩ルナシータを皆で試食した。

「うん。これはいけるな」

よっぽど気に入ったのか、はたまた空腹だったのか……。
カイエンは、次から次へと口に運び、順調に試作品の数を減らしている。
側にいたシータが、若干引いていることにも気付かないほどだ。
シスルは慎重に口内で咀嚼し、アミードは匂いを嗅いだりしながら恐る恐る口に入れている。
そして、ゴクンと呑み込むと一瞬で顔を綻ばせた。

「いいですね!これなら甘いものが苦手な人も食べられます」

と、シスル。

「なんと、絶妙な……甘いのにしょっぱい……それなのに味がケンカしないなんて……」

アミードは、ルナシータと塩ルナシータ、二本を摘まむとうーんと唸った。
こちらの世界では、甘いものはとことん甘く、塩辛いものはとことん塩辛いものが多い。
甘いものを、塩辛くしようなんて発想がそもそもないので、アミードの驚愕も当たり前なのだ。
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