能力を失った聖女は用済みですか?
「なかなか上手く出来たでしょう?これなら、フレイヤの守備隊長さんも気に入ってくれるはずです」

「ええ!間違いないでしょう。ルナさん……いや、聖女様の博識さには頭が下がります」

アミードは大絶賛した。
だけど、その言葉には誤りがある。

「元聖女ですよ?なんの力もない一般人です」

ちょっとイモと土地と作物に詳しいだけの普通の人。
精霊の力がなければ私の価値なんてないに等しい。

「そんなことはない!ルナにはすごい力があるっ!」

「ルナねぇさまはおイモの精霊に愛されてるのよっ」

「なぜ、そんな謙遜を!?」

カイエン、シータ、シスル……三人が喰い気味に叫んだので、私とアミードはビクッと震えた。
何もそんなに必死にならなくても良くない?
嬉しいけど、ね。

「あ、ありがとう。評価されて嬉しい、です」

そう言うと、叫んだ三人は満足して微笑んだ。
優しいその表情に、私は心の中でもう一度お礼を言う。
シャンバラのために何かをしたい、と思ってここにやって来たけれど、力を失った私に本当に出来ることがあるのか……と、弱気になることもあった。
そんな私を家族と言ってくれて、受け入れてくれて。
本当にありがとう。

「では、明日から量産を始めましょう。忙しくなりますよ!受注はどんどん増えてますから、馬車馬のように働いてください」

無表情のアミードの、鬼畜な檄が飛ぶ。
忙しいのはいいけど、馬車馬のように……は嫌だわ。
案の状、全員が眉間に皺を寄せ嫌そうな顔をすると、アミードは、してやったりという表情を浮かべた。
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