能力を失った聖女は用済みですか?
歓喜に沸くシャンバラでは、暫くお祭り騒ぎが続いた。
潤った大地のおかげで、シャンバラの水、食糧不足はほぼ解消され、枯れていた開墾地では、イモの他にも作物が徐々に芽を出している。

一般的に、肥えた土地にイモは適さない。
だけど、地母神の加護かどうなのか、どの集落でもイモは一定数収穫が出来ている。
それにより、シャンバラ名物になりつつあるルナシータの製造も、滞りなさそうで一安心だ。

再稼働を始めた製造所では、各国へと運ばれるルナシータが毎日大量生産されている。
フレイヤ国に頼まれた「塩ルナシータ」も大好評。
暑い国のみならず、他の国からの受注も徐々に増えている。
受注は日を追う毎に増え、シャンバラは一躍、大陸でも一、二を争う豊かな国になっていた。

人々はこの一連の出来事を「シャンバラの奇跡」と呼び、それは世界へと伝わった。
滅亡寸前のシャンバラにやってきた、一人の聖女の救国の話は、各国で少しずつ脚色されながら噂されている……らしい。
ある国では王と聖女のラブロマンスが囁かれ、またある国では聖女の目眩く冒険活劇が追加され……。
そんなとんでもない噂に青ざめていた私のもとに、忘れていたある問題が再浮上したのは、一月が経った頃。
ルナシータ製造所で作業中だった私は、その件で突然王の部屋に呼ばれたのだ。
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