能力を失った聖女は用済みですか?
「来るぞ」

そう言って、カイエンは手紙を渡してきた。
封蝋には見覚えのある紋章……懐かしいロランのものである。

「……中を見ても?」

「ああ」

了解を得て、恐る恐る封書を開けた。
するとそこには……一週間後に王子ラシッドがやって来るという文言がある。
カイエンが言った言葉の意味を知り、血の気が引いた。

「何をしに来るんでしょうか……」

そんなことはわかりきっていたけど、不安のあまり思わず呟いてしまっていた。
国境付近でロラン兵士と揉めた時、彼らの捨て台詞からも推測出来る。
ロラン王は、聖女を取り戻すことを諦めていない。
「シャンバラの奇跡」を聞いたなら、私に力が戻ったのを知っているはずで、そうなれば、また何か手を打ってくるのもわかっていた。

「手紙には書いていないが、連れ戻しにだろう……」

カイエンは、私を近くの椅子に座らせると手ずからお茶を入れてくれた。
冷たくなった手で暖かいカップを握りしめると、息を整え一口飲む。
それを見てカイエンが言った。
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