能力を失った聖女は用済みですか?
「シスルさんが言うには、寛容で包容力のある方だとか?」

「包容力……?あまり物事を気にしないだけだと思うが」

伝聞のイメージは、ひょっとしてあてにならないんじゃないか、と私は思った。
何でも出来て良く気が付く完璧美女像は一瞬にして崩れ去り、ガサツなイメージが上書きされた。

「姉とお前は良く似ている」

カイエンは目を細めてこちらを見た。
……なんで、今、それ言うんです?
ガサツなイメージがついた途端、似ているって。
素直に喜べないんですけどぉ?

「……そ、そうですか?」

遠回しに私がガサツだと言われている気がする。
でも、あながち間違ってないのが辛い。

「ああ。心が広く優しくて聡明。時折見せる無鉄砲さも、誰かのことを想ってのことだから……」

「ええ!?少し誉めすぎですよ?それに、昨日は突っ走るな!って怒りましたよね」

「だから、怒ってないって……少し言い過ぎたと反省しているんだ」

「反省なんて……」

だいたい、聖獣と地母神にも「うっかり聖女」と言われている私だ。
その上、カイエンに怒られたところでそんなにダメージはない。
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