能力を失った聖女は用済みですか?
「オレはルナのその純粋な無鉄砲さが、本当は好きなんだよ」

「うえっ?」

「だが、時にそれがお前自身の危機にも繋がってしまう。止めたいが、見ていたいとも思う。難しいよな」

カイエンは柔らかく目尻を下げた。
その微笑みを見つめていると、何かが胸の内から溢れ出すような不思議な感覚に囚われる。
胃の上の方がギュッとつかまれるような、切なさで押し潰されそうな。
……昨日、何か、変なものを食べたかな?
思い出してみても、全く心当たりがない。
そのうち、いたたまれなくなって目をそらした私は、窓の外を見た。
すると、緑溢れる大地が途切れ、茶色く干からびた大地へと変貌を遂げている。
ロランからシャンバラに来た時は逆だった。
豊かな大地のロランは、奇跡が起こる前のシャンバラのように草木が枯れている。
その様子をカイエンも憂いた。

「短期間で……こんなに疲弊するものか?」

「それだけ邪神の力が強いんですよ。大地を干上がらせるなんて……カイエン様!絶対に救ってあげましょう」

「ああ。もちろん!」

「ん……」

カイエンと私の大声で、目を擦りながらシータが起きた。
でも、ちょうどいい。
馬車は国境を越え、ロランの辺境の村に差し掛かったところだったからだ。
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