能力を失った聖女は用済みですか?
馬車は国境を越え、ロランの最初の村へと急ぐ。
窓から見えるのは荒涼とした大地。
時折小さな竜巻も巻き起こり不安を煽る。
ロランの美しかった景色はどこにもなく、暗く淀んだ世界へと変貌を遂げていた。

「お空が暗いわ……」

シータが空を見上げ呟いた。
灰色の不気味な緞帳が覆い尽くす空は、閉じきってしまえば世界が終わるような閉塞感すらある。

「こんなロランの端の方まで影響があるようですね」

「国境まで満遍なくとは……律儀なことだ」

カイエンが苦虫を潰した表情で言うと、シータが何かを見つけて身を乗り出した。

「あ、あれ!村かな?建物が見えるっ」

「うん、えーと、ロランの最南端だからレミ村だと思うわ」

神殿にあったロラン全土の地図。
それに、記載されていた通りなら合っているはずだ。
特産品は豊かな丘陵地で作られる果物だけど、今見る限りではそんな面影はない。
緑で溢れていただろう丘は、枯れた木ばかりの悲惨な状況だ。

私達はそのままレミ村へ向かった。
きっと王都から外れた方が食料は不足している。
シャンバラでも同じだったからカイエン達には良くわかるのだ。
知らんぷりして通過するなんて絶対に出来ない。

近付いて中の様子を窺うと、村は閑散としていた。
外には人の気配がなく静かである。
アルバーダのように集会所に集まっているのかもしれない。
シャンバラ一行は、辺りを警戒しつつ、村から少し離れた所に馬車を止めた。
そして、カイエンと私、あとはイズールと兵士数人が中に入ることになった。
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