能力を失った聖女は用済みですか?
「そうですか。遠路、お疲れ様でございます。あの……息子のワトに聞いたのですが、食糧を持ってきてくれたのだとか?」

「ああ。村の外の荷車に積んでいる」

「おお……感謝します!備蓄の食糧が底を尽き、まさに今、村を捨てる決断を迫られていたところでした」

代表のリーザは感極まって膝をついた。
さっき顔を見せた息子がそれを支え、二人は抱き合って喜んでいる。
その様子を見て、後ろから村人がわらわらと出てきた。

「そんなに切羽詰まっていたのか……ならば、早く村に食糧を運ぼう!村の人で手伝える者は来てくれ」

「は、はい!皆、シャンバラの方達をお手伝いするぞ!」

リーザの息子ワトが村人に声をかけると、何人かの男性が手を上げた。
彼らを引き連れて荷馬車まで行き、ルナシータと未調理のままのイモ、それから多少保存の利くように改良した『新イモプリン』を一緒に降ろす。
全員でそれらを集会所へと運び、待っていた村人全員に配布すると、どこからともなく啜り泣く声が聞こえた。

「ありがたい……こんなにたくさん……」

「飢え死にせずに済んだなぁ……」

村人の生活は限界だったのだ。
ロランの中枢が機能停止しているから、当然物資も届かない。
上の人間は、自分たちのことばかりで民の生活にまで考えが及ばないのだろう。

「ゆっくり落ち着いて食べて下さいね。あまり早く食べると体に悪いですから……」

私は側にいた女性に声をかけた。
すると、彼女はルナシータを握り締めぽろぽろと涙を溢した。

「ありがとう、本当にありがとう」

女性の隣には男の子が固い表情で座っていたけど、シータが話し掛けると、すぐに笑顔になった。
さすが、子供は子供同士。
やっぱりシータを連れてきて正解だったわ。
そんな思いを感じたのか、シータは私を見てえへへと照れた。
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