能力を失った聖女は用済みですか?
「村は捨てないで欲しい。諦めないで欲しいんだ。あなた方がここにいることが、国を救うかもしれないんだよ」

不思議がるリーザを見つつ、私はカイエンに視線を投げた。
すると、彼もこちらを見、私達はどちらともなく頷いた。
それは、全ての真実を話す、そして、協力して貰う……その了解だ。
村人の不安を取り除けば、次にすることは、団結して強い意志を持って貰わなくてはならない。
それには、こちらの思いも考えも、全部話すべきだ。

カイエンは、リーザとワトに向き直ると、自分が何者かを伝えた。
二人は暫く呆然としていたけど、カイエンの持っていた剣の紋章や、付いてきた兵士の装備を改めて見て、信じてくれたようだ。
そして、彼らが次に見たのは私だ。
あの話を知っているなら、シャンバラ王の隣にいるのは聖女だと誰だって思う。

「まさか、聖女様だったとは……」

呟くリーザの目は潤んでいた。
後ろのワトはそんな母親の肩を抱く。
二人は大した威厳もない私に、恭しく頭を下げてくれた。

カイエンは、リーザとワトに今ロランで起こっている現象について説明した。
邪神の結界に閉じ込められたロランには精霊の加護が届かない。
その結界を強めるのは、人々の不安や恐怖である。
数々の異常現象が起こるのはそのせいで、元凶の邪神は国王の側室アイーシャである、と。

そして、邪神を封印するためにはどうすればいいのかを二人に教えた。
< 172 / 204 >

この作品をシェア

pagetop