能力を失った聖女は用済みですか?
「酷いな……」

呟くカイエンに私は相槌を打った。

「はい。他の村や町より、王都が一番酷いですね。邪神が近いからでしょうか?」

「かもな。干ばつなどの自然現象と違って、元凶に近い方が被害が顕著に出るらしい」

「人もいないね……ルナシータ、一軒一軒配って回らなきゃダメかな」

シータがプルルッと震えながら言った。
小さいのに、恐怖に耐えて良く頑張っている。
私は不安げなシータの手をギュッと握り、大丈夫だよと言うように微笑んだ。
すると、不意に馬車が止まった。

「カイエン様!」

やって来たのは、前方で指揮をとっていたイズールである。

「どうした?何かあったのか?」

「前方に少人数の騎馬を目視し確認したところ、ロランの王子がいるようなのですが……いかが致しましょう?」

「ラシッドが!?どうして町に……何をしているんだ?」

カイエンがこちらを見た。
しかし、私にもさっぱりわからない。
町の見回りか、民の様子を見に来たのか……王子のすべきことならいくらでも考えられるけど、相手がラシッドなだけに予想がつかない。
甲斐性のある男ではないからだ。
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