能力を失った聖女は用済みですか?
首を捻る私を見てカイエンは言った。
「降りて確かめてみよう」
「……私も行きます」
「危険だから馬車にいた方がいい」
「いえ、大丈夫です。一緒に行きます」
言いきった私に、カイエンは諦めて頷いた。
そして、シータをワトに任せると私達は馬車を降りた。
カイエンに手を引かれ、イズールの先導で霧の立ち込める前方へと進むと、大きな影が見えた。
向こうもどうやらこちらに気付いたらしく、ザワついている。
息を飲んで見つめていると、大きな影がユラリと揺れた。
馬から降りたとみえる人影は、少し小さくなると、こちらに近付いて来る。
すると、人の顔の輪郭がゆっくりと浮かび上がってきた。
「ラ、ラシッド王子!」
「ルナ?」
やっぱりラシッドだった。
彼は、青白い顔でこちらを見て微笑む。
どうしてここにいるのか、私がそれを聞く前に、カイエンが尋ねた。
「ラシッド王子。何故町に?」
「カイエン殿……先日の無礼を許して頂きたい。あれから私も反省し職務を全うしようと考えたのです」
「殊勝なことだ。で、町の見回りか?」
「それもありますが……実は、シャンバラの王が聖女を伴いロランの各地で食糧を配給している、という話を聞いて、私達も何か手伝えないかと出てきたのですよ」
弱々しくもしっかりと言ったラシッドを見て、私は心底驚いた。
あの、ダメ王子ラシッドが、自分で考えて行動するなんて、天変地異が起こりそう……あ、実際起こってるんだけど、それは王子のせいじゃない。
この状況で覚醒するなんて、ちょっと出来過ぎてる気もしなくはない。
でも、心を入れ換えて、国のため、民のために奔走するのは確実にいいことだ。
「降りて確かめてみよう」
「……私も行きます」
「危険だから馬車にいた方がいい」
「いえ、大丈夫です。一緒に行きます」
言いきった私に、カイエンは諦めて頷いた。
そして、シータをワトに任せると私達は馬車を降りた。
カイエンに手を引かれ、イズールの先導で霧の立ち込める前方へと進むと、大きな影が見えた。
向こうもどうやらこちらに気付いたらしく、ザワついている。
息を飲んで見つめていると、大きな影がユラリと揺れた。
馬から降りたとみえる人影は、少し小さくなると、こちらに近付いて来る。
すると、人の顔の輪郭がゆっくりと浮かび上がってきた。
「ラ、ラシッド王子!」
「ルナ?」
やっぱりラシッドだった。
彼は、青白い顔でこちらを見て微笑む。
どうしてここにいるのか、私がそれを聞く前に、カイエンが尋ねた。
「ラシッド王子。何故町に?」
「カイエン殿……先日の無礼を許して頂きたい。あれから私も反省し職務を全うしようと考えたのです」
「殊勝なことだ。で、町の見回りか?」
「それもありますが……実は、シャンバラの王が聖女を伴いロランの各地で食糧を配給している、という話を聞いて、私達も何か手伝えないかと出てきたのですよ」
弱々しくもしっかりと言ったラシッドを見て、私は心底驚いた。
あの、ダメ王子ラシッドが、自分で考えて行動するなんて、天変地異が起こりそう……あ、実際起こってるんだけど、それは王子のせいじゃない。
この状況で覚醒するなんて、ちょっと出来過ぎてる気もしなくはない。
でも、心を入れ換えて、国のため、民のために奔走するのは確実にいいことだ。