すてきな天使のいる夜に〜2nd Sstory〜
ーside 紫苑ー



沙奈の病室を後にしてから、朝の会議に集中ができなかった。



沙奈が、幸せでいてくれればそれでいい。



それだけを願い、今まで沙奈の傍にいて来たつもりだったのに。



沙奈を手離したくないと考えてしまう。



大翔なら、沙奈を泣かせたりしないしきっと幸せにしてくれるとは思う。




大翔が誰かを愛することなんて今までになかったけど、大翔の沙奈の思う気持ちや昨夜の出来事も考えると沙奈をこれからも真っ直ぐに愛してくれると信じることができる。




だからこそ、何も心配はいらないとは思う。



いつか、沙奈の手を離して誰かの元へ幸せになるために歩み始める沙奈を見送らなければいけない日が来るだろう。



そう遠くないうちに。



あれほど頑なに閉ざしていた心を、俺たち以外の誰かに心を許し、1人の男性を好きになることが出来たのは沙奈への成長を感じ素直に嬉しいと思う。



これからの沙奈の未来が楽しみで



でもどこか切ない気持ちもある。



だから、今できる事を精一杯沙奈へしてあげたいと思う。




「紫苑、どうしたんだ?


会議もずっと上の空だったけど。」



診察の準備を始めていると、翔太が声をかけてきた。




「いや。何でもないよ。」




「紫苑が悩んでいるのは、大体沙奈の事だよな。


沙奈に何かあったのか?」




「沙奈は大丈夫だよ。


少しずつだけど、幸せになるために1歩ずつ進んでくれている。


俯くこともなく。」




「そうか。大翔先輩とも上手くやってくれるといいな。」




「翔太は気付いていたのか?」




「当たり前だろう?



大翔先輩も、沙奈も。


2人のあんなに穏やかな表情見たことがなかったからな。


2人の触れ合う姿見てると、お互い大切に想いあっているんだろうなって思ってた。



兄としては少し寂しいけど、沙奈の帰る所はいつだって俺達のところでしょ?


大翔先輩に沙奈を渡したとしても、それは変わらないって思っているから。」




翔太の言う通りだな。



沙奈が、大翔の元へ行くとしてもいつでも帰る場所はここだ。



血縁関係に縛られることなく、俺たちの妹はたった1人だ。



沙奈と翔太との幸せな時間をこれからも過ごしていきたい。


今日は早めに終わらせて沙奈の元へ向かおう。

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